地域の公園をストリートビューで見てみるアイディアは、「郷土愛」「自然愛護」などにも汎用が効き、便利な使い方であることを学びました。ありがとうございました。質問が一つ。教科書教材を活用していますが、深く学ばせることよりも教材から早く離れて考えさせたいという意図があったのかと思いました。実際の所どうだったのでしょうか。また、教科書教材を使ったからこそ深まったと思うところを教えてください。
公開授業<第1学年>
主題名 よりよい社会のために
教材名「あったほうがいい?」(あすを生きる1 日本文教出版)
授業者 山形市立第三中学校 教諭 村山 一樹
<動 画>
<指導案>
<授業動画に係る指導及び助言 山形大学地域教育文化学部 教授 吉田 誠>
※上記<>をクリックすると当該内容について別ウインドウでご覧いただけます。
※指導案等については、参加者自身の研修の目的で利用することは可能ですが、 他者への情報提供についてはご遠慮ください。
【質疑について】
本提案に関する質疑は、チャット機能を活用し、質問を11月14日から18日まで受け付けます。
質問する際は、下のフォームに[名前・件名・質問]を入力して、送信してください。その後、送信したページ内に授業者からの回答がありますので、ご確認ください。
公開授業<第1学年>質疑
日付: 2022年11月21日
投稿者: 村山一樹
件名: Re:教科書から離れることについて
桃崎 剛寿様
ご参観いただきありがとうございます。
ご質問いただいた内容について以下の通り回答いたします。
教科書教材についてですが、本校も駅前からすぐのところにあるものの、首都圏から見ると都会とはいいがたい場所に位置しています。そのため、生徒たちも教材で問われている「街中」というものを想像しにくいのではないかと考えました。また、本校近くの通りは比較的きれいに整理されており、イベント等で街中がごみであふれているというイメージを持ちにくいのではないかと考えました。
本教材で語られている「ごみ箱」についても、「街中」にあるか、「コンビニ」にあるか、「パーキングエリア」にあるか、「花火大会の河原」にあるかで、責任の所在が変わってくると考えます。コンビニや花火大会などで、お客さんに向けて何かを販売しているのであれば、その企業や主催者はごみ箱を設置しなければならないと私は考えます。教材に登場した様々な「ごみ箱」について考えを深めていった場合、それぞれのシチュエーションによって生徒の考えが変わることが予想され、今回の価値項目である「公共の精神」から論点がずれてしまうのではないかと考えました。本教材の「街中」のごみ箱は、誰かが責任を負わなければならない場所ではなく、みんながルールを守って使っていくことできれいな状態を維持できる「公共の場」となることから、今回はその状況に近く、身近でもある学区内の「公園」について考えさせました。
教科書教材を使ったことで深まったこととしては、教科書を読み、「主人公」や「母親」の意見に触れたことで、ごみ箱があったほうがいいのかについて様々視点からの見方が必要になってくるということを、生徒たち自身に気づかせることができる点があげられます。また、「悩んでいる」という主人公の状態があるからこそ、授業のまとめとして「主人公にアドバイスをする」という形で生徒に考えさせることができ、生徒自身も自分の言葉で説明しようとしていたことについては、教科書を使った効果が見られたと思います。
一方、教科書から離れたからこそ深まったこととしては、今回考える価値について、生徒が実体験に基づいて考えることができた点にあると考えます。今回登場した「霞城公園」には、博物館やお花見スポット、最上義光像などがあり、誰しもが小学校や家族で必ず1度は訪れたことのある公園です。実際に訪れたことがあるからこそ、話し合いの中でも「花見の時は…」「歴史的な風景を考えると…」など、イメージを膨らませやすく、みんなが利用する「公共の場」という視点で、教科書教材の「街中」よりは具体的に想像できたのではないかと考えます。
以上となります。
このたびはご質問、ご助言をいただきましてありがとうございました。
これからの授業づくりに生かして参りたいと存じます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
日付: 2022年11月22日
投稿者: 桃崎 剛寿
件名: Re:Re:教科書から離れることについて
村山一樹先生
ご丁寧な説明ありがとうございました。
実態からベストな両立をされたことがよく分かりました。
素晴らしい教材理解に学ばせて頂きありがたい限りです。
とても勉強になりました。
日付: 2022年11月18日
投稿者: 佐藤 明子
件名: 生徒が自分事として考える題材提示について
深めたい価値について、身近な問題から考え、教科書教材は話題提起として、終始、霞城公園にはごみ箱があった方がいいかどうか、様々な視点から考えることができていました。実際にある問題ですから、生徒にとっては、考える価値があって、とても良かったと思います。実際ごみであふれている写真の提示などあればイメージを共有できたり、不快感を疑似体験できたり、するなど授業づくりが楽しくなる思いがしました。このように教科書との関連で具体的で身近な問題を取り上げることは、よく実践されているのでしょうか。
日付: 2022年11月21日
投稿者: 村山一樹
件名: Re:生徒が自分事として考える題材提示について
佐藤 明子様
ご参観いただきありがとうございます。
ご質問いただいた内容について以下の通り回答いたします。
私自身、道徳の教材と、生徒の生活体験をできるだけ関連付けながら授業を行いたいと考えています。1年生の教材では、「ふれあい直売所」の教材で、学区近くにある無人販売所の写真を提示しました。また、その授業の終末では、近所の人気飲食店が近隣店舗や契約外駐車場への無断駐車により、契約駐車場を貸してもらえなくなったというトラブルなどを紹介し、みんながルールを守っているからこそ存続するもの、ルールを守らないとなくなってしまうものについて考えさせました。
これからも、道徳や教科の授業で、生徒が身近に感じられるような話題を提供しながら、教材を自分事としてとらえさせられるように努力して参ります。
以上となります。
このたびはご質問、ご助言をいただきましてありがとうございました。
これからの授業づくりに生かして参りたいと存じます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
日付: 2022年11月15日
投稿者: 吉田ひとみ
件名: タブレット活用について
授業前対話から始まり、生徒たちの活発な話し合い活動が見られました。すてきな授業を久々に参観できて楽しかったです。ありがとうございました。
タブレットの活用に関してお聞きしたいことがあります。貴校では道徳授業で、どのようなタブレット活用をされていますか?今回のような意見の変容を簡単に視認するために使用される他に、どのような場合に利用されているのかご教授いただきたいです。今回の班の意見交換でタブレットを使用してまとめ、モニターに映して全体共有もできたかと思いますが、班活動をした後にホワイトボードを活用した意図を教えていただきたいと思います。
日付: 2022年11月21日
投稿者: 村山一樹
件名: Re:タブレット活用について
吉田ひとみ様
ご参観いただきありがとうございます。
ご質問いただいた内容について以下の通り回答いたします。
1.タブレットの活用について
今回の授業では、「まなびポケット」の中の「スカイメニュー」から「ポジショニング」というソフトを使用しました。今回のように、自分やクラスメートの考えを可視化するのに使うことや、その位置にマークを置いた理由についてコメントを打ち込み、クラス内での意見交流に使用することもあります。
また、マイクロソフトformsを利用して、グループでの話し合いを記録して、教員機に送信して集約することや、授業内でアンケートに回答させ、その結果を即時的に開示し、授業内での全体交流を促すことも行っています。(3学年授業動画、16分20秒~をご参照ください)
2.まとめ方について
私自身が今まで行ってきた授業スタイルとして、ホワイトボードにまとめて、他の班を見回る授業を継続して取り組んできました。他の班を自由に見回っているときに、他の生徒と意見交流が生まれ、自分の班に戻ってきたときに、さらに議論が深まることが多いと考えます。
ご指摘いただいたような、班の意見をタブレットでまとめる、という活動は1年生でタイピングに不慣れな部分もあり、まとめにいつも以上に時間がかかってしまうのではないかという懸念から、今まで行ってきませんでした。しかし、タブレットでまとめるという技能はこれから身に着けさせていかなければならない技能でもあると考えます。前述のスカイメニューの中にも「発表ノート」というアプリケーションがあり、画面での全体共有もできるため、今後はそちらの使用も試みていきたいと考えています。
以上となります。
このたびはご質問、ご助言をいただきましてありがとうございました。
これからの授業づくりに生かして参りたいと存じます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
日付: 2022年11月14日
投稿者: 福田鉄雄
件名: 【ご教授いただきたいこと】①話合いのしかた②あなたに何ができるかという発問について
生徒が、答えの定まっていない問題について多面的、多角的に考え続ける姿勢をもつことは大切であり、この教材は「考え、議論する」につながるものです。村山先生が、この教材を通して、「考え、議論する道徳」を体現しようとした意欲は高く評価できます。
しかし、以下の2点について、ご教授いただきたいです。
①ゴミ箱の「ある」「なし」は、その裏にある根拠・理由を深く考察することであり、いろいろな根拠・理由を踏まえて、自分は「こう考える」という自己決定をさせることが大切と私は考えます。「いろいろな考えがあるねー。ふーん。」で終わってはいけないと私は考えます。「個」で考え、「班」で考え、他班が書いたホワイトボードを見て歩き、細かい字で書かれた「ボード」を黒板に貼る間に、班の中での話合いはありましたが、教室全体での「意見交換」の場は、なかったと思います。黒板に貼られたボードは「視認」であり、しかも細かい字で「判読」できたかも疑問です。ここから先の話合いはありませんでした。どうして、学級全体で、生徒個人の意見発表による「考え」の交流をしなかったのでしょうか。先生の指導の意図をご教授いただきたいです。
②「私たちはどんなことができますか」の発問に対する生徒の反応は、授業動画の画面上で確認しましたが、「ゴミをポイ捨てしない」「きちんとゴミ箱に捨てる」などの行動面が多く、生徒の内面からの発したと思われ、道徳的価値に関わると感じる言葉は「感謝」「公共(の場)」など、ごくわずかでした。何に感謝するのか、どうして感謝するのか、公共の場だから何が必要なのか、公共の場で大切にするべきことは何かという追求が、本時の学習でなかったから、行動面に目が向いたものと推察します。それは、「どんなことができますか」という発問の是非に関わっていると思います。先生の発問意図はどのようなものだったのか、ご教授いただきたいです。
日付: 2022年11月21日
投稿者: 村山一樹
件名: Re:【ご教授いただきたいこと】①話合いのしかた②あなたに何ができるかという発問について
福田鉄雄様
ご参観いただきありがとうございます。
ご質問いただいた内容について以下の通り回答いたします。
1 話し合いのしかたについて
ホワイトボードの掲示についてですが、すでに見回っているので、全体で共有して生徒に見てもらう意図はありませんでした。貼らないという選択肢もありましたが、授業の終末で本時の振り返りを行うときに、ホワイトボードを貼っていることで、授業を振り返るきっかけになればとの思いで掲示しました。ただ、ご指摘いただいた通り、貼り終わった後の活用については、自分自身課題に感じている部分でもあります。その中から全体での議論にふさわしいような意見をピックアップして、深めていく時間の確保と、的確な意見を見取る力をこれからつけていかなければならないと感じています。
「自己決定」については、確かに道徳では必要な場面はありますが、今回のごみ箱について考えれば、ごみ箱を設置する、しないのどちらにしても、設置者の考えがあり、あったほうがいいのかどうか、明確な判断はできないと私は考えます。実際に社会の中でもごみ箱を設置している公園もあれば、設置していない公園もあります。だからこそ大切なのは、「設置する/設置しない」と判断した管理者の意図をくみ取り、求められたルールに気づき、判断し、行動していくことなのではないかと考えました。
2「あなたは何ができるか」という発問について
この発問については、「教材分析図による批判的探究的教材分析法」による指導案検討の際にも、学年で話題に上がった部分でもあります。道徳アセスメント調査の結果から、道徳的行為の実践意欲が低い傾向がみられたことから、本教材を通して学んだことを、価値の高いものとして理解するだけではなく、それを理解した上でどのように行動できるか、という行動面に目を向けさせたいという教師の思いがありました。また、主人公へのアドバイスをする、という次の発問も、本教材で気づいた道徳的価値を、中学1年生なりの言葉で考え、ごみ箱を通して、今まで見えなかった「社会」や「世の中」への相手意識を芽生えさせ、そのごみ箱の先にある社会とのつながり、他者への思いやり、社会への感謝に考えをつなげることで、1年生の段階で習得するべき「公共の精神」に近づけたのではないかと考えます。
1でも申し上げた通り、話し合いの議論の中に、もっと「深まり」を持たせることができれば、本教材で到達すべき「道徳的価値」への理解もさらに深まり、その後のプリントで生徒に考えさせた「行動」にもより変化が見られたのではないかと考えます。本授業を通して、世の中の事象を多面的、多角的にとらえて自分の考えは広げることができた生徒が多かった一方で、それぞれが考えを深めることができたかについては、ご指摘の通り疑問が残ると考えます。
以上となります。
このたびはご質問、ご助言をいただきましてありがとうございました。
これからの授業づくりに生かして参りたいと存じます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
日付: 2022年11月14日
投稿者: 井上 賢一
件名: 生徒の変容について
本授業を通して、子どもたちが主題にどのように迫ったかを教えていただきたいと思います。授業者の先生が印象深かった子どもたちの振り返りを一つか二つでいいので教えてください。よろしくお願いいたします。